佐世保市の精肉店「相伽和店」(あいかわてん)様の店舗移転に伴うブランディングのお手伝いをいたしました。
相伽和店さんは現在の社長さんのお父さんが大宮公設市場でお店を始められた「まちのお肉屋さん」です。
今回の移転前まではバス通りから一歩奥まった場所に店舗があったこともあり、お客さんから見つけてもらいやすい場所へ移転したいという長年の悩みがありました。
また地域の高齢化に伴い、お客様も高齢化しており、今後の経営を考える上でも若い新規のお客様を獲得していくことが必要でした。
こうした背景のなか、店舗からほど近い場所にバス道路に面した空き店舗に移転できることが決まったタイミングで依頼をいただきました。
当初はロゴ制作などアウトプット系のみの依頼でしたが、数回のミーティングを経て接客などの課題も見えてきました。そこで社内意識の統一とブレのないメッセージを発信するためにブランディングにも着手することとなりました。
約3ヶ月、数回のワークショップとミーティングを経て、ブランドアイデンティティが完成。自分たちが誰にどういう価値を提供したいのか、そのためには何をすべきなのかをまとめた「理念」です。このブランドアイデンティティをベースにデザイナーさんから数案のロゴを提案してもらい、ようやくロゴが完成しました。
ブランドに対する誤解のひとつに「ブランドになるためにはロゴが必要だ」というものがあります。これは裏を返せば「ロゴがあればブランドになれる」という誤解であると思っています。
この「ブランド=ロゴ」という信仰に近いもの(と私は思っていますが)は、遡ればDCブランド全盛期の80年代にルーツがあるのではないかと考えています。その当時以上にブランドネームやキャラクターが大きくプリントされたアパレル製品がもてはやされた時代はないのではないでしょうか。ブランドネームやキャラクターが主張するアパレル製品は、つまり「私はそのブランドを身につけていますよ」という最もわかりやすいアピールです。そしてその当時はそのアピールが自然に羨望の的であった時代でもあり、「ブランド=ロゴ」という図式が最も輝いていた時代です。
ここ最近「ブランド」「ブランディング」に対する書籍や話題も増え、社会的な認識やニーズも高まってきつつあるように感じます。そんな中でロゴと同様に「ブランド=かっこいいデザイン」のような誤解も同時に発生しているように感じます。あえて誤解と言うのは、それさえやっていればブランドになれるのだろう(なりたい)という幻想を感じずにいられないからです。
話がそれました。そもそも「ブランド」とは商品やサービスを他者のものと識別するための記号です。その記号は、形でも色でも、匂いでも、品質でもロゴでも、デザインでもいいのです。さらにはジャパネットの高田社長のようなアイコン的な経営者でもいいのです。最初は単なる商品・サービスでも、色や形、ロゴやデザインといったフィルターを通して、それを手に取った“多くの”人が他者のものよりも優れた特徴を認識することで市場における優位なポジションを徐々に獲得し、その積み重ねが「信頼」や「安心」「評判」となっていく。その積み重ねが結果として「ブランド」という揺るぎない牡蠣として確立されるのです。
お説教くさい話と思われるかもしれませんが、ブランドに対する正しい認識がないと、ブランディングの正しい道筋が見えません。正しい道筋なしにロゴやデザインを進めてしまうと、結果として遠回りになってしまいます。
ブランディングを進めていく上で大切なこと、それは当たり前ですが商品・サービスが良いものであることが必須の条件です。これは抜きん出て良いものでなければならないということではなく、一定の人々にきちんと評価がされれば良いということです。そのうえで、品質の良さを覚えてもらう、多くの人に伝える、自分たちがこの商品・サービスを提供している思いに共感してもらうためには、どのような方法が良いのかを考えた時に、ロゴやパッケージデザイン、CMやウェブといったアウトプットが“必然性”とともに活用されるべきなのです。
経済のグローバル化を経てウィズコロナの時代に突入し、大企業ではマーケティングやセールスプロモーションと同様にブランディングが重要な施策として認識されています。地方企業ではこれからという段階ですが、自社の価値をきちんと伝えることが売上につながるのだという認識が徐々に浸透しつつあります。ただし上で述べたように、誤解が多いことも事実です。ブランディングを進める際には、アウトプットだけでなく自社(商品・サービス)の価値や理念まで理解し、場合によっては再構築できるようなパートナーを選ばれることをお勧めします。
つむぎラボではブランディングだけでなく、「求人」「販売」「マーケティング」などさまざまな課題解決に向けたご提案をいたします。ウェブサイトなどのアウトプットだけでなく、本質的な課題解決のためのブランディングまで幅広くサポートいたします。まずはお問い合わせください。
CL:有限会社相伽和店(https://aikawaten.co.jp)