ブランディング03:組織を強くするインナーブランディング

2020年06月17日 ブログ

 

「ブランディング」はいち事業や、いち製品・サービスを差別化するだけではありません。企業の持続的な成長のために企業そのものに対する「インナーブランディング」が重要視されています。

その大きな理由は「ブランド」を社外に発信する活動において、「社員(従業員)」が非常に重要なメディアであるからです。そのため社員(従業員)のブランドに対する理解と共感を進めることが、ブランドづくりにおいて大きな意味を持ちます。

様々な部門に属する社員(従業員)一人ひとりが企業の理念やブランドの掲げるミッションを理解していれば、それを日々の業務に落とし込んでいくことができます。

 


 

どんな企業にも、その企業ならではの理念やビジョンがあります。企業固有の目的に沿って進化し続けるカルチャーをつくり上げることがインナーブランディングの最も重要な目的です。

創業者のカリスマで成長してきた企業も長期的にはいつまでもそのカリスマに頼ることはできません。持続的に成長していくためには、全社員が「経営の視点」を持ち合わせ、日々の業務やプロジェクトに主体的に臨む状況が必要でしょう。

 

近年、社内のコミュニケーションを深め、組織力を高めていこうとする企業が増えています。その背景にはSDGsに代表されるように、短絡的な幸福ではなく長く続くことに価値を見いだすようになってきたことがあげられます。

また「働き方改革」に代表される働く価値観の変化もあります。しかし多様な働き方を認めることは、他方で従来のような「会社」としての形を維持することが難しいことを意味します。

こうした価値観、働き方の変化をうけ、企業が社員とともに同じ未来を指向し、成長し続けていくためにはは「自社が何のために存在しているのか」「何のために働いているのか」を明確にし、その価値観の中心に理解・共感してもらうことを組織の中心に据えることが重要になってきます。

 


 

企業と社員の基本的には雇用契約で成り立っています。それは契約条件が悪くなった場合には、契約をやめることがあるということです。給料や福利厚生だけでつながっている状態では、それが途切れれば(あるいは条件が悪くなれば)簡単に辞めてしまうことでしょう。

仕事内容についても、仕事そのものが唯一無二であるケースは稀で、他の会社でも実現できる可能性が高いでしょう。 そう考えると、社員と企業はもっと深い部分でつながらなくては「企業」という形をなして、長く価値を生み出していくことが難しい時代と言えます。

スペックだけではなく、生き方のスタンス・あり方でつながらないと、事業の成長も個人も成長も持続させることができないのです。個人の成長が望めない場所に人は留まりません。

コンセプトや商品・サービス、デザインなど目に見える部分は他社がいくらでも真似でき、外部からはその違いがわかりにくいものです。しかし企業が時間をかけて築き上げてきた「理念」は一朝一夕に真似できるものではありません。

 


 

 

会社をたち上げた理由は各社それぞれ異なるはずです。

あらゆる市場がコモディティ化した現在においても、創業時またはこれまで培ってきた「想い」は必ず差別化されているはずです。どんな企業もその想いを紐解いていけば、ブランディングの起点となる自社にしかないストーリーが、必ずや見つかることでしょう。

魅力的な中小企業の多くは、社会的に意義のある理念が明確です。その理念を全社員で共有し、実践していくことこそが模倣できない独自のカルチャーとなり、競争優位性をつくります。まさに従業員向けのインナーブランディングは「商品で差別化できない時代の差別化戦略」です。

 


参考文献
「ブランディング7つの原則」岩下充志編著(日本経済新聞出版社)
「100万社のマーケティング2017年9月号/中小企業の飛躍にはインナーブランディングが欠かせない」(宣伝会議)
「広報会議2018年6月号/企業ブランド再構築プロジェクトの進め方」(宣伝会議)

つむぎラボとは

認知(知名度)や販売促進、採用などの課題を抱える企業に対し「ブランディング」によるサポートを行っています。企業らしさと強みを明らかにすることで、他社との差別化を行い、顧客との良好な関係を末永く築くことができます。持続的に成長できる企業を増やすことで、経済が潤い、人材も集まり、地域が元気になる。そんな未来を目指しています。(所在地:長崎県佐世保市)

 

 

 

 

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