ブランディングとマーケティングの違い

2021年06月26日 ブログ

 

 

ブランディングは「企業の経営目的を達成するための全社的な取り組み」とし、経営戦略、マーケティング戦略、コミュニケーション戦略に縦串を刺すものと定義づけられています。(一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会の定義)しかしマーケティングの側からすれば、ブランディングはマーケティングのいち戦略とされることもあるようです。

ブランディングとマーケティングはお互いに切っても切れない関係であることは間違いありません。違いを理解するためには、それぞれの役割を考えると良いです。

 


 

簡単に言うと、ブランディングが目指すのは「売れ続ける仕組みをつくる」こと。それに対してマーケティングは「売れる仕組み」をつくることです。

マーケティングはその名の通り「Market(市場、取引)」という言葉からできた言葉です。このマーケティングという言葉には的確な日本語訳がありません。そのため人によっては間違った解釈で「販売促進」だったり「市場調査」といった狭義の意味でしか捉えられていないこともあります。

例えば、マーケティング戦略を考える時のフレームワークに「4P分析」があります。4PとはProduct(製品・サービス)、Price(価格)、Place(販売場所・提供方法)、Promotion(販促活動)の頭文字で、これらの要素を複合的に検討することで市場を創造できるというものです。

 

Product:どのような製品・サービスを提供するのか
Price:その製品・サービスをいくらで提供するのか、どのようなチャージ方法か
Place(Channel):その製品・サービスをどのように提供するのか
Promotion:その製品・サービスをどのように販促するのか

 

経営学者のピーター・ドラッカーはマーケティングの目的について「マーケティングの狙いはセリング(売る行為)を不要にすること」と語りました。つまりマーケティングとは顧客や市場のニーズを理解し、ニーズに合った商品・サービスを提供することで、自然に売れる仕組みをつくろうというもの。理論で言えば、マーケットイン(市場ニーズありき)発想の戦略です。

 

しかし実際の実務では「この商品を売るにはどうしたらいいか」というプロダクトアウト発想(製品ありき)を起点として、市場ニーズを探り、どの市場でどんなチャネルで、どういう販促を行えば売れるだろうかと考える際に使われることが多いと思います。


 

一方、ブランディングは企業が「☆☆と思ってほしい」という意図がユーザー(消費者、顧客)に伝わり、それが積み重なっていくことでユーザー(消費者、顧客)が「☆☆と思うよ」というイコールの心理状態になることを目標とします。「☆☆と思ってほしい」というのは企業独自の価値であり、「☆☆と思うよ」というのはいわゆるブランドイメージというものです。

 

あなたも身の回りで「社長たるものクルマはベンツでなくては」とか「本多翼ちゃんがおすすめするなら買いでしょ」とか「本気で痩せたいならライザップだな」みたいなことを思った経験があると思います。

何かの商品・サービスを選ぶ時に、他に自分に合うもっと良い選択肢があるかもしれないのに、自分が持っているイメージで決めてしまう、それはブランディングが成功しているからに他なりません。

 

ただしユーザー(消費者、顧客)が心のなかに企業イメージを蓄積してくれないとブランドはできません。ただしブランドができてしまうと「指名買い」されるようになります。それも高くても買ってもらえるようになります。さらに何度でも買ってもらえるのです。これが「売れ続ける仕組み」の意味です。

 

「良い商品・サービスがあれば売れる」というのは幻想だということは大抵の経営者の皆さんは理解されていると思います。しかしマーケティングが必要だ、ブランディングが大事だとわかっていてもなかなか自社のリソースだけでは実行できない、実行してもうまく回らないと思っておられる方も多いでしょう。

そんなときは外部の力を借りることを検討されてみてはいかがでしょうか。

 


 

 

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