
製品は工場で作られるが、ブランドは心の中でつくられる。(ウォルター・ランドー)
これは世界的なブランディング会社ランドーアソシエイツの創業者、ウォルター・ランドーの言葉です。この言葉の通り、ブランドはユーザーの心の中につくられるもの、「心象」です。 企業が「うちは最高品質のサービスしか提供しない」と宣言して広告キャンペーンを実施しても、顧客が「あそこのサービスは口では最高品質と言っているけど、実際使ってみるとイマイチだよな」と思う状況であればブランドとはなり得ません。 企業が「●○と思われたい」という思いと、顧客の「●○と思うよ」という思いが合致してこそブランドたり得ます。そのために企業は「●○と思われ」るための広告を打ったり、店舗を改装したり、またはサービスを改善します。 そうして提供する商品・サービスはもちろん、店舗・オフィスの雰囲気、サービス品質、スタッフの接客態度や身だしなみ、広告表現まで、顧客とのすべての接点において「らしさ」を体験してもらい、その体験が積み重なることで徐々に「●○と思うよ」という状態になるのです。
企業または商品・サービスが「ブランド」として認識されると、ニーズが発生したときに真っ先に「ブランド」が選択の候補に挙がるか、もしくは指名買いされます。こうした選好性は価格競争からの解放を意味し、その企業に利益をもたらします。 さらに利益が確保できれば、社員へもその分の利益を還元できるようになります。すると社員とのエンゲージメントも向上し、離職率も低下していきます。さらにエンゲージメントが高い会社には、おのずとその輪に加わりたいと考える人も増えるという好循環を生み出します。 このような「ブランド」を中心に据えた企業活動をすすめていくのが「ブランディング」です。 前述したようにブランドとして確立していくためには商品・サービスはもちろんのこと、店舗・オフィスの雰囲気、サービス品質、スタッフの接客態度や身だしなみ、広告表現まで一貫したユーザー体験を必要とします。そのためには各戦術の企画立案をひとつの大きな旗印(理念・概念)のもとで、一貫して実施していく必要があります。

情報があふれ、技術革新のスピードがどんどん上がり、あらゆるものがコモディティ化する時代においては、新しい技術はすぐにキャッチアップされ、コストカットも限界です。顧客は世の中にある製品・サービスに違いを見つけることがとても難しくなっています。 企業が大きな差別化要因と思っているポイントが、顧客にとっては違いとすら認識してもらえないことが往々にしてあります。 だからこそ機能的な価値ではなく、情緒的な価値で差別化していく必要があるのです。 ブランドによってWin-Winとなれる世界は、社会全体によい影響をもたらします。私たちは特に地方の中小企業に対してサポートを行い、三方よしの社会を実現したいと考えています。
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