
MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)とは何か
MVVとは、企業の存在意義(ミッション)、目指す未来(ビジョン)、行動指針(バリュー)を言語化した考え方です。経営判断の軸や社員の共通認識をつくるものです。つむぎラボが支援するブランディングでも、基本的な理念として取り扱っています。
Mission(ミッション)とは
ミッションとは企業の存在意義のことです。
企業の事業内容そのものではなく「私たちは何のために存在しているのか」を示します。言い換えると社会や顧客に対して果たす役割を言語化するものです。
ミッションが明確であれば、事業の選択や撤退、新規投資などの経営判断に一貫性が生まれます。また、社員にとっては日々の仕事の意味を理解する指針となり、モチベーションや誇りにもつながります。ミッションは短期的に変わるものではなく、企業の根幹として長期的に共有されるべきものです。
Vision(ビジョン)とは
ビジョンは「私たちは将来どこへ向かうのか」を示す中長期的な未来像です。
「売上〇〇億円」や「店舗数〇〇店」などといった数値目標ではなく、企業が実現したい理想の社会像や、世の中との関係性を描きます。明確なビジョンは、未来から逆算して自分の仕事が未来にどうつながるのかをイメージさせることができるものです。
また、採用やブランディングにおいても価値観に共感する人材や顧客を引き寄せる力があります。変化の激しい時代だからこそ、進む方向を示すビジョンの重要性は高まっていると言えるでしょう。
Value(バリュー)とは
バリューは、ミッションとビジョンを実現するために「どのような価値観で行動するのか」を示す行動指針です。
抽象的な理念ではなく、日々の判断や行動に落とし込める言葉で表現することが重要です。例えば「挑戦」「誠実」「チームワーク」などが挙げられますが、自社らしさが伝わらなければ意味を持ちません。バリューが浸透すると、社員同士の判断基準が揃い、組織としての一体感やスピード感が生まれます。
なぜ今、MVVが重要視されているのか
市場環境や働き方が大きく変化する中で、企業には「判断の軸」と「共通言語」が求められています。MVVは、変化に振り回されないための経営と組織の土台として注目されています。
経営判断の軸としてのMVV
新規事業、M&A、DX投資など、経営判断が複雑化する現代において、MVVは重要な判断基準となります。「それは自社のミッションに沿っているか」「ビジョンの実現につながるか」という視点があれば、短期的な利益に流されにくくなります。MVVがない場合、判断は属人的になり、経営の一貫性が失われがちです。MVVは経営者だけでなく、管理職層にとっても意思決定を支える共通の軸となります。
組織の一体感と自律性を高める役割
働き方や価値観が多様化する状況では、細かな指示よりも価値観の共有が重要になります。社員間、部門間での各論は異なっていても総論として価値観が共有されていると最終的に向かう方向にブレは生じないのです。
MVVが浸透していれば、社員一人ひとりが「自社らしい判断」を自律的に行えるようになります。結果として、組織のスピードや柔軟性が向上し、マネジメント負荷の軽減にもつながります。
採用・ブランディングへの影響
MVVは社内向けだけでなく、社外へのメッセージとしても機能します。企業の考え方や目指す未来が明確であれば、価値観に共感する人材が集まりやすくなります。また、商品やサービスの背景にある想いが伝わることでブランド力が強化され、価格競争巻き込まれにくくなります。MVVは、採用力とブランド力を同時に高める基盤と言えます。
MVVがもたらす企業への具体的な効果
MVVは単なる理念ではなく、経営や現場に具体的な変化をもたらします。組織運営や事業成長の面で、どのような効果が期待できるのかを整理します。
社員のエンゲージメント向上
自分の仕事が会社の目的や未来とどう結びついているのかが分かると、社員の主体性は高まります。MVVは「なぜこの仕事をするのか」という問いへの答えを提供し、働く意義を明確にします。その結果、指示待ちではなく、自ら考えて行動する社員が増え、エンゲージメントの向上につながります。
企業文化・風土の形成
バリューを軸に行動が評価されるようになると、企業文化は自然と形成されていきます。評価制度や人材育成をMVVと連動させることで、言葉だけで終わらない理念経営が可能になります。
中長期的な企業成長への貢献
MVVが浸透した企業は、環境変化に柔軟に対応しながらも、ぶれない成長を実現しやすくなります。短期的な成果だけでなく、10年後、20年後を見据えた経営が可能になる点は大きなメリットです。MVVは、持続的成長を支える経営インフラと言えます。
MVVを策定しようとした場合、プロジェクトメンバーをどうするか、プロジェクトに割く時間をどうするかといった障害が大きいことも事実です。
しかしMVVを策定し、しっかりと組織に根付かせることで、それらの障害を上回るメリットが期待できます。
MVVのメリットを理解している企業ほど、その刷新や策定に積極的に取り組んでいると考えられます。こちらの記事もご一読ください